十和田市立中央病院の理念である「いのちを見守り、いのちをささえ、いのちをつなぐ」医療の実践とは、科学的に有効な治療やケアを、より確実に、より安全に提供するとともに、連携医療機関や介護事業者、その他の関係機関と協力しながら、地域住民一人ひとりの生活を支えていくことです。
この理念を実現するためには、自ら提供している医療サービスが質の高いものであるかどうか、また、課題がある場合にそれが改善へと向かっているかどうかを、客観的に評価しながら、医療サービスの内容を継続的に見直していくことが重要です。

当院では2013年度より、**医療の質指標(QI:Quality Indicator)**の測定を開始しました。その推移を継続的に把握するとともに、同様の指標を用いている全国の医療機関の動向も参考にしながら、医療の質の維持および向上に取り組んでいます。
地域医療への貢献に関する指標
救急搬送応需率


救急車の受け入れ状況を示します。
高齢化が進行する当地域では今後も救急搬送される患者さんが増えていくことが予測されます。 当院では、消防隊との定期的な懇談会の開催や、救急室医療スタッフの人員の拡充(2019年度より)などを通じて、 救急搬送患者の円滑な受け入れに努めています。
救急搬送応需率 =
救急搬送受入数 ÷
救急搬送受入要請数
紹介率・逆紹介率
「紹介率」 は、他の医療機関からの紹介で当院を初診した患者さんの割合です。
「逆紹介率」 は、当院から他の医療機関に紹介した患者さんの割合です。
紹介率と逆紹介率は、当院が地域の医療機関とどのように連携し、役割分担を行っているかを示す指標です。
紹介率が高い場合は、地域の診療所や病院から、専門的な診療を担う医療機関として信頼され、紹介を受けていることを表します。
一方、逆紹介率が高い場合は、当院での専門的な診療や治療が一定の段階を終えた後、患者さんをかかりつけ医や地域の医療機関へ適切につなぎ、継続した診療や療養が行われていることを示します。
このような**「紹介・逆紹介」**の仕組みは、患者さん一人ひとりの状態に応じて、病状が安定してきた方は地域の医療機関と連携して療養を続け、より高度な検査や治療が必要な方は、専門的な体制をもつ医療機関と連携して治療を継続するためのものです。
紹介・逆紹介が円滑に行われない地域では、限られた医療機関に患者さんが集中し、混雑が生じたり、その医療機関でなければ対応できない検査や治療を必要とする患者さんに、十分な医療サービスが行き届かなくなったりするおそれがあります。
当院では、こうした状況を防ぎ、地域全体で患者さんを支えるため、通常の紹介状による連携に加え、患者さんご本人の同意をいただいたうえで、当院での詳細な診療記録を紹介先の医師が閲覧できる仕組みを整備し、地域医療連携の充実に取り組んでいます。
これらの指標を継続的に確認することで、当院が地域医療の中で果たすべき役割を適切に担い、患者さんが必要な医療を円滑に受けられる体制が整っているかを評価しています。
※紹介率の算出にあたっては、平日日中の救急搬送初診患者および休日・夜間の初診患者数を分母から除外しています。
これらの患者さんは、急病や緊急対応のため紹介状の有無に関わらず受診されることが多く、地域医療機関との紹介・連携の状況を評価する指標としては適さないためです。

紹介率=
初診紹介患者数÷
初診患者数-(平日日中の救急搬送初診患者+休日夜間初診患者数)

逆紹介率=
逆紹介患者数÷
初診患者数-(平日日中の救急搬送初診患者+休日夜間初診患者数)
診療行為についての指標

虚血性心疾患 統合指標(Composite Measures)
急性心筋梗塞に対して、科学的に有効性が明らかな診療を組み合わせて実施している割合です。
(患者さんの体質や病状によっては実施されない場合もあります)

指標値 =(アスピリン投与+βブロッカー投与+スタチン投与+ACEIまたはARB投与+病院到着後90分以内にPCI実施)÷
急性心筋梗塞による入院患者数
脳卒中 統合指標(Composite Measures)
脳卒中に対して、科学的に有効性が明らかな診療を組み合わせて実施している割合です。
(患者さんの体質や病状によっては実施されない場合もあります)

指標値 =(抗血小板薬投与+スタチン投与+抗凝固薬投与+早期リハビリテーション実施)÷ 脳梗塞等による入院患者数
小児喘息入院患者のうちステロイドが経口・静注された割合
小児喘息発作の治療と管理に広く有効性が認められている、ステロイド薬の全身投与を行った割合です。(お子さんの体質や病状によっては投与されない場合もあります)

指標値 =(ステロイドの全身投与(静注・経口)を受けた患者数)÷ 喘息に関連した疾病をもつ2~15歳の入院患者数
糖尿病患者の血糖コントロール
糖尿病治療薬を使っている患者さんのうち、血糖値が「可」とされる基準よりも低く保たれている割合です。

指標値 =(HbA1cの最終値が7.0%未満の患者数)÷ 過去1年間に糖尿病治療薬が外来で合計90日以上処方されている患者数
医療安全・入院管理についての指標

転倒・転落の発生率
入院患者さんの転倒や転落が報告された割合です(単位は1000人日あたり)。
転倒・転落や、それによる怪我等のリスクを低下させるため、 医療安全対策室では2017年度から入院患者さんとご家族向けの「転倒・転落防止対策」を刷新し、
・患者さんが普段から履き慣れている靴をご持参いただき、スリッパ等は使用しないこと
・寝間着やパジャマをご自分で用意される場合は、体に合った長さのものとすること
など7項目の対策を定め、ご協力をお願いしております。また医療安全パトロールを定期的に実施し、 リスクの発見と対策に努めています。

指標値 =(医療安全対策室に報告された入院中の転倒・転落件数)÷ 入院延べ患者数
褥瘡発生率
入院中の褥瘡(じょくそう:いわゆる床ずれ)の発生率です。
褥瘡はQOL(生活の質)の低下をきたすとともに感染を引き起こすなど、 入院の長期化や医療費の増大につながります。そのため、褥瘡予防は重要な入院管理項目のひとつとされています。
当院の病床は体圧分散マットレスを標準とし、 患者さんの褥瘡発生リスクの状況に応じて高機能エアマットレスを選択できる体制にしています。 また、褥瘡予防ケアとして重要なスキンケアや失禁ケアにも積極的に取り組んでいます。
さらには、皮膚・排泄ケア認定看護師を専従業務に配置し、 多職種で構成される褥瘡対策チームと共同して褥瘡予防対策や褥瘡回診を行い、早期治癒の促進と褥瘡の発生防止に努めています。
2018年度は、褥瘡の新規院内発生数に医療関連機器圧迫創傷を加える数え方になったため、 発生率が上昇しています。

指標値 =(レベルd2以上の褥瘡の新規院内発生患者数)÷ 入院延べ患者数(入院時既に褥瘡を有していた患者を除く)
抗菌薬適正使用支援に関する指標(2021年度)






🟥 QI優先度【高】(必須・まず掲載)
👉 市民・患者・行政・評価機関すべてに説明責任を果たせる指標
1. 医療安全
- 転倒・転落発生率
- 褥瘡(d2以上)新規院内発生率
- 医療安全対策室へのインシデント・アクシデント報告件数
- 入院患者延べ数あたりの医療事故発生率
2. 急性期医療の質(ガイドライン遵守)
- 急性心筋梗塞
- 抗血小板薬投与率
- スタチン投与率
- 90分以内PCI実施率
- 統合指標(Composite Measures)
- 脳梗塞
- 抗血小板薬投与率
- 早期リハビリテーション実施率
3. 生活習慣病管理
- 糖尿病
- HbA1c 7.0%未満達成率
📌 ポイント
- 今回あなたが整備している数式群=ほぼこの「最優先領域」
- 「算出方法公開」が最大の信頼材料
🟧 優先度【中】(評価が上がる・余力があれば)
👉 病院の体制・運営力を示せる指標
4. 救急・迅速性
- 救急搬送応需率
- 救急患者の入院受入率
- 救急外来から入院決定までの平均時間
5. 入院医療の質・効率
- 平均在院日数
- 病床稼働率
- 30日以内再入院率
6. 地域医療連携
- 紹介率
- 逆紹介率
- 退院時サマリー作成率
📌 ポイント
- 公立・地域中核病院では特に評価されやすい
- 「地域を支えている病院」であることが伝わる
🟨 優先度【低】(発展・余裕が出たら)
👉 姿勢・将来性・ソフト面の評価
7. 患者中心性
- 患者満足度調査結果
- 苦情・相談件数と対応状況
- セカンドオピニオン対応件数
8. 教育・人材(任意)
- 研修医・専攻医数
- 指導医数
- 職員研修実施回数
📌 ポイント
- 数値化が難しいため「補足情報」扱いがおすすめ
- 採用・信頼感アップには有効