本年 8 月末に開催された「第 49 回青森県自治体医学会」でのシンポジウムの内容をまとめました。参考にしていただければ幸いです。

がん相談支援と地域との関わり~特に就労支援について~

がん診療については、生存率が年々向上しており、がんを慢性疾患として捉えなければならない面もあります。長期の診療が必要になっている現状もあり、今回のテーマは「がん患者さんの生活をいかに維持していくのか」という重要な問題を提起しています。司会者の丹野が、県がん相談支援部会を担当させていただいていることもあり、部会活動周知の絶好の機会を頂いたことに、本シンポジウムを企画してくれた青森市民病院院長の豊木嘉一先生に深謝いたします。

さて、令和 5 年3月に「第4期がん対策推進基本計画」が閣議決定されました。その全体目標として「誰一人取り残さないがん対策を推進し、すべての国民とがんの克服を目指す」が掲げられました。SDGs の中心課題である「Leave noone behind」が、がん対策にも反映されたと感じます。その大きな方向性に変わりはありませんが、がんとの共生の中の社会的な問題への対策=サバイバーシップ支援がより充実したようです。その第一の項目が就労支援ですので、今回のテーマは時宜を得ていると思います。

本シンポジウムでは、ハローワーク青森とがん診療に携わっている5つの病院から、6名のシンポジストの皆さんにご登壇いただきました。ハローワーク青森の神さんからは、就職支援の実態についての報告があり、約半数ががん患者でありその7割が女性であること、個々に様々な課題を抱えているため、きめ細やかな支援が必要であることを強調されておりました。

弘前大学医学部附属病院の高谷さんからは、ハローワーク弘前と連携して、様々な就職支援の取り組みを展開していること、潜在的に悩みを抱えている方の拾い上げや経済的支援の難しさを報告してくれました。

青森県立中央病院の坂本さんからは、がん相談への早期介入システムを導入したことにより、相談件数が増え、特に仕事に関する相談が2.9 倍になったと大変前向きな報告をしてくれました。青森市民病院の一戸さんからは、患者が金銭的な悩みを含む社会的苦痛を訴えることの困難さについて、経験症例を通じて報告してくれました。

八戸市立市民病院の雫石君からは、患者サポートセンターの開設により、より早期からのがん患者への関りが可能になってきているものの、まだ連携不足・周知不足があるとの報告でした。十和田市立中央病院の佐伯さんからは、就労支援の潜在的ニーズは高く、地域によってハローワーク内の体制に差があるため連携が欠かせないとの報告がありました。

質疑では、青森県内の事業所の対応についての質問があり、個々に温度差はあるものの、徐々に就労支援の重要性を認識しつつあるとのことでした。また、最も重要ながん患者が持つ社会的苦痛を如何にして拾い上げるかについては、できるだけ早い段階からの介入、繰り返しの周知、医師からの就労に関する問いかけ、それらのシステム化、県や市町村の介入などの意見が出されました。全国的にも、がん相談支援センターの認知度はまだまだ低いため、医療従事者の声がけが大変重要であることを改めて確認し、周知活動に資する貴重な時間となりました。

2024 年 10 月 11 日