上十三医師会誌に投稿した内容です。季節感がずれてしまいましたが、ご一読ください。

新型コロナウイルス感染症(以下 COVID-19)のために、先生方とはなかなかお会いできる機会がなく、ご無沙汰しております。親愛なる沼田先生から、本誌への原稿依頼を頂戴し、大変有難く存じます。この暑さもあり、先生方と一緒に生ビールを浴びるほど飲みたい、という衝動に駆られております。さて、本年 4 月より松野正紀先生の任を引き継ぎ、事業管理者として勤務させていただいております。

病院ニュースさわらびにも書かせていただきましたが、「組織を潤す水のような存在になる」などと、啖呵を切ってから 4 か月が経ちました。陰ながらじっくり支えるような水、語句としては「涵養」をイメージしていたのですが、図らずも COVID-19 のせいで、シンガポールのシンボルであるマーライオンから吐き出される水のように目立ってしまった感じです。結果として、地域医療に大きな影響を与えてしまいました。改めてお詫び申し上げます。

事業管理者としての最初の仕事が、コロナ禍の管理となったことは、「励め!」との天の声なのでしょう。十和田市での COVID-19 初発例入院から、計14 例の患者さんを受け入れ、全例が退院するまでの 53 日間は、正直想定外の出来事の連続でした。まずもって、鉄道も高速道路もない自然豊かなこの十和田市でこんなに早く発生するのか、という感覚が私も含めての一般的な認識であったと思います。しかし、ある当医師会会員の先生の英断で初発例が発覚したわけですが、さらに診断が遅れていたらどうなっていたのか、を考えると背筋が凍る思いです。

結局、高齢者施設でのクラスター発生が明らかとなり、既存の感染症病床数 4 床を上回る患者さんを受け入れるため、今年度返上したばかりの緩和ケア病棟を急遽開棟し対応致しました。このミッションを 10 数時間で成し遂げた当院職員の底力に感服し、誇りに思います。感染症指定医療機関の当然の責務として、認知症高齢者を含む感染患者さんを受け入れた訳ですが、思った以上に感染管理に難渋し、残念ながら院内感染が発生してしまいました。現場職員と患者さんとの接触時間の長さや防護具のリユース等が原因と考えられましたが、マンパワーを集中的に投入することで何とか乗り切ることができました。マスコミ対応では、決して断らず可能なかぎり真摯に対応したつもりですが、先生方にはどう映っていたでしょうか? 忌憚のないご意見をいただければ幸いです。

現在、我が国は COVID-19 第二波の真っ只中にあります。大都市圏でそれなりのまとまった感染者が発生し、地方では散発的にぽつぽつ発生するという状態が当分続きそうです。当院は多方面にわたる様々な経験をし、組織として少なからず成長しました。COVID-19 を診療しながら、如何にして効率的に救急診療を含む通常業務を維持するか、について学びました。この糧を今後に活かしながら、先生方と二人三脚で、地域医療をしっかり守り抜き、中核病院として存立し続けることができるように、励みたいと思います。ご協力のほど何とぞよろしくお願い致します。

2020 年 8 月