現在、主に新年度予算を審議する市議会が開会中ですので、病院の予算について考えてみようと思います。一般的に企業で「予算」という場合は、経営ビジョンに基づいて設定した具体的な目標があって、その目標を数字として表現したもの、と言われています。

当院も地方公営企業体ですので、毎年年度末になると、次年度の「病院事業当初予算」を作成し、市議会の承認を得て、4 月からの予算執行が可能になるという訳です。ところで、皆さんは当院の予算規模はどの位で、その内容が大まかにどのように分かれていて、それぞれの部署目標が予算に反映されているのかどうか、などに関心があるでしょうか? 残念ながら、ほとんど意識されていないのが現状ではないかと推察しています。これは、そもそも私自身に大きな責任があると思っています。今年度の病院目標に掲げた「経営の透明化・可視化~経営データの説明責任を果たす~」を実行していないことに他ありませんから、、、。

予算の立て方には、「トップダウン型」と「ボトムアップ型」があると言われていますが、当院は自治体病院ということもあり、伝統的に事務局主導トップダウン型予算と表現できるかもしれません。言い換えれば、事務局の皆さんにおんぶにだっこ、ほとんどの部分をお任せしていたと言えるでしょう。やはり、医療機器や研修費などだけではなく、もっと予算の中にボトムアップ的な部分を入れ込まなければならないと思います。それができれば、皆さんにも病院経営に関心を持ってもらえるでしょうし、積極的で前向きなご意見もさらにいただけるだろうと考えています。

今回は病院予算(令和 3 年 4 月 1 日~令和 4 年 3 月 31 日の収益的収支=家計簿)の大まかな内容について、皆さんと共有したいと思います。まず、収入を約 91 億 3000 万円、支出を約 94 億 4000 万円と見込んでいます。ここで注目していただきたいのは、約 3 億 1000 万円の赤字予算(純損失ありきの予算)ということです。この赤字部分が毎年積まれていく累積欠損金(令和元年度末で約 130 億円)となっていきます。この純損失の部分を何とかゼロにし、そしてプラスにしたいところです。そうすれば、この累積欠損金が増えなくなり、減少に転じる訳です。現状では、このような赤字予算を組まざるを得ませんが、皆さんの頑張りでもう少しのところまで来ています。

その理由を説明していきます。まず、収入の内訳ですが、医業収益約 83 億 1000 万円、医業外収益(主に繰入金)約 7 億円、特別利益(主に繰入金)約 1 億 2000 万円と見込んでいます。医業収益の部分がほとんどですが、これは我々自身が働いて得ている収入になります。入院で約 55 億円、外来で約 23 億 2000 万円、その他 4 億 9000 万円と見込んでおり、入院は 1 日の患者数を一般 220 人、包括 30 人、精神 25 人、計275 人、それぞれの単価を 60000 円、38000 円、29000 円として計算しています。現在の当院の診療能力としては、十分達成可能な目標だと思います。これに上乗せができれば、赤字額が縮小できる訳です。外来は 1 日の患者数を一般500 人、精神 85 人、訪問 9 人、それぞれの単価を 17500 円、8500 円、33000円として計算しており、これも無理のない目標だと思います。

繰入金については、法律に基づいて国や市から自治体病院運営維持のために頂けるお金ですので、有効に使わせて頂きましょう。もちろん、支出を如何に抑えるかも大変重要な視点です。支出の内訳は、給与費約 46 億 7000 万円、材料費(薬品や診療材料)約 16 億 4000 万円、経費約18 億 5000 万円(委託料約 10 億 6000 万円、光熱水費と燃料費約 2 億 5000 万円など)、減価償却費約 7 億 5000 万円、研究研修費約 4500 万円などです。可能な限り、材料費と経費を抑えられれば、赤字額をさらに減らすことができることになります。ここは、中谷事務局長が中心となって、強力に推し進めているところです。以上のように、あと 1.5%収入を増やし、1.5%支出を減らせば、収支がほぼゼロになるところまで来ています。あと少しという意味をご理解いただけたでしょうか。是非、市議会の予算審議にも関心をもっていただければ幸いです。

追伸となりますが、COVID-19 のワクチン接種が開始されます。感染対策についての気の緩みは許されませんが、これが皆さんのストレス緩和に少しでも繋がれば、皆さんを守ることになり、結果として地域医療をしっかり維持できることになると思います。粛々とワクチン接種を受けましょう。

2021 年 3 月 5 日事業管理者 丹野弘晃